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横浜地方裁判所小田原支部 昭和53年(ワ)65号 判決

主文

本件訴を何れも却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は、

一、被告小田原市農業協同組合及び被告尾崎吉雄は原告に対し連帯して金一九万円及び之に対する昭和五二年一二月二一日より完済に至る迄年六分の割合による金員を支払え。

二、被告等は原告に対し連帯して金二一万二、〇〇〇円及び之に対する昭和五二年一二月二九日より完済に至る迄年六分の割合による金員を支払え。

三、訴訟費用は被告等の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因(原文のまま)及び被告等の主張に対する認否として、

一(一)  原告は、昭和四一年一一月当時も現住所に住み、一二坪位の自家屋に被告尾崎が、小田原市農業協同組合の(当時何の職か不知)火災共済の勧誘を知人の紹介を得て来られた。

(二)  その当時の話しの内容は、はつきりしないが、後日もよく言われ、現に認めている、貯金ということ(注この事件になつてからは貯金みたいなもの~十回掛ければ貯金みたいなもの~十三回掛ければ貯金みたいなもの~掛金だけ戻つて来る~共済掛金積立金が二回目を払い込んだ後所定の掛率を掛けただけ戻つて来る……という様に目まぐるしく変つたものである)だつたので共済掛金三一、二〇〇円のに契約した。

(三)  昭和五〇年一二月ごろ原告の家屋が何年か前に現在の三〇坪位になつたので推定するに、その時が十回めに当つていたので、損害時一千万円の共済を勧誘したものと思われるが、増額をすすめられた。

(四)  原告はその時点においても、貯金(みたいなもの)が印象が強かつたので何の疑いもなく農協の共済という前提があつたから、それに応じたものである。それが最善の方法なのだろうと思つた。

(五)  然るに、昭和五二年一一月に解約を申し出て解つたことだが、昭和四一年一一月ごろ契約の分は昭和五〇年に新契約の際精算が行われ本店より支店に送金?され支店から被告尾崎に手渡つていることを明す伝票があるとのことの証言を被告小田原市農業協同組合では申し立てている。

(六)  そこで原告はその先を尋ねたところ、原告が受取つたとすればその証拠を求めたところ無い、被告小田原市農業協同組合は被告尾崎が持つているとのことであるが、その後原告と会う機会があるのに双方より無いものである。

(七)  説明によると昭和五三年二月一〇日の時点では昭和五〇年一二月二〇日被告尾崎が直接・奥さんに手渡した・フートーに入れてそのまま手渡しそのフートーに印を押してもらつた………と主張している。

(八)  原告らは従来受領していないと主張しており原告はその知らされている範囲で記憶を自から求めても無い。

(九)  被告尾崎と被告小田原市農業協同組合がしている事務の完全さにしては原告との事務は考えられないと主張し金一九万円の未払金の支払いを求め精算書の提出と遅延損害金を求める。但し、次にその数的根拠を示した。

(一〇)  昭和四一年一一月ごろ契約し、昭和五〇年一二月五日までにした計十回分共済掛金計三一万二、〇〇〇円は被告尾崎の従来の説明であり、訴外人富水支店長も当初のべたごとく、その通りの金員を、被告らの言う解約金を受けていたが、その一部については、新らしい契約の、金一二万二、〇〇〇円に振り当てられたことは従来支払つてないことで認めているから、その金員を差し引いたものの残金一九万円について支払いを求める。

二(一)  昭和五〇年一二月ごろ原告が私用で出掛けるところに、珍しくニコニコして来た被告尾崎が原告に、建物がこれじあ少いから一千万円にしたらと勧められたので、当時農協の分は三百万円だつたので、貯金(みたいなもの……と今事件になつてから被告らは言い回しに変化があつたと原告は思う又事実これすら変つているしこれに準じた言葉ないしは用語又は文体が多い)みたいなものといつたのと、事実一二坪から現在三〇坪余りに増築され、農協の分が少いのは確かだし農協の共済が、まさかこれ程ひどいとは当時夢々思はなかつたので原告も農協より、農薬肥料等を買うなど、親しみを持つていたので、増額に応じた。

(二)  結果的に解約に応じたことになり、それが、最善の方法を被告尾崎がとつてくれたもの、と信じた。増額の手続上他の便法があることを知ら無い。正確には知らなかつた。又その際傷害の話は無かつた。解約の話もあつたか、どうか、はつきりしない。むしろ事務上の解約がなされることは理解出来る。原告は解約金の受領、又は計算書・精算書等送付されればその時点で解明するし、その様な事務が解約金の受領を除いて無いことを被告らは認めている。従つて、原告は貯金ということが、てんから頭にあつたので、被告らのした事務に全く不思議を感じてなかつた。

(三)  又解約の話しが仮りにあつたとして解約がどんなものでこうなりますの説明は無かつたことははつきり言える。結局その方がもうけが多いこと原告の利益など、どうだつてよい。とする営利本位、人柄、組合の姿勢、上部機構の質に、その根本がありそうでないとしたらそうでない事実等を被告らがそれぞれ出したらいい。又出すべきである。

(四)  又事実関係に戻つて。その時、被告尾崎は原告より印を受けとり、何かの、伝票に被告尾崎がその印を押してから、いつたん帰りかけ(玄関から出て何歩か歩いて戻つて来て)やつぱりこの分はもらつていかないといけない……といつた意味のことを言つて原告より掛金を持つていつたものである。

(五)  翌年被告尾崎が原告宅に来たときは景品(ナベ・カステラ・慰安招待券)を持つて来、原告が直接受けとつた。その際現金受領の確認等は全くなく今でもその事実関係について当然指適がある※のが被告尾崎が老令であることを考慮するとその二点についても不自然である。

(六)  尚その後今日に至るまで計算書及び精算書を昭和五三年二月一〇日の説明会の際手渡された文書を除いて受けていない。特に精算書・計算書(旧)は原告に渡してないことを被告らは認めております。何故か?

(七)  もし仮りに受けておれば、原告の思つていた金額と違うから原告の言う意味との違いが浮きぼりになつて来るものと思われる。あるいはそれをあらかじめ被告らは予測していたのではないか。その様に推測すると後の事実関係の説明がつく様に思われる。

(八)  又新規のにする時被告尾崎は他に保険に入つているかどうかの確認を原告に求めなかつた。その時坪数は原告より聞いていつた。この確認について訴外人富水支店長はその様な義務はないと言い、念を押した。

三、そこで原告は、以下最後の章までの原因とそれぞれの請求原因により被告らに対し、損害賠償の請求をする。

(一)  勧誘の際の作業基準・結果的にしろ原告に損害を掛けることを承知して(常に抱き合せて)したと思われること。

(二)  約款条文上の意識的戦略、言句、文体、単語。

(三)  契約を結ぶ上での意と的な作業標準。

(四)  広告物の不作為の責任。

(五)  事務が及ぼす修正・追認の経済的強要とそのものに損害の原因が求められること。

(六)  共済としての実体は原告又は原告らに、比して利益がない。

(七)  名称の責任実体はとても共済とは言えないこと。

(八)  共済組合の事実としてはその費用の食い方が共済らしくなくそこに損害の原因があること。

(九)  共済約款上にないことをなしたことに損害の原因が求められること。

(一〇)  農業協同組合法・共済の精神を触れると思われることがら。

(一一)  他の共済との比較又は推定から適当でないそこに損害が生じたと推定の根拠をおく。

(一二)  組合員の財産を預るものとしての共済人としての自覚の欠落と年次的?三〇年に亘る共済人としての責任を災害時に保償すれば可とする欠陥。

四、損害賠償金の算出根拠。

(一)  第一回掛金一二二、〇〇〇円。

(二)  第二回掛金一二二、〇〇〇円。

(三)  神奈川県火災共済・災害時一千万円のときの共済掛金掛け捨て一万六千円と思われるのでその二倍の三二、〇〇〇円。

(四)  右(一)(二)の合計金二四四、〇〇〇円より右(三)の金三二、〇〇〇円を差引いた残金二一万二千円の損害金を請求する。

五、文章にしての説明。

(一)  昭和五〇年一二月ごろ先に解約?となつたものの内より新記の分としてそのころ一二二、〇〇〇円支払われたらしいのと現に原告の手許より出て無いのでそれが第一回分。

(二)  昭和五一年一二月の第二回目は支払つてありこの二つについて争いは無いそこで合計二四四、〇〇〇円とした。

(三)  昭和五三年二月一〇日小田原市農業協同組合富水支店にて聞かれた説明の後被告らの言う解約返れい金を原告に手渡そうとした然るに原告には主張があり災害時の保償の無い共済組合員の利益はあることを受けとつたことで消滅しない様これを拒否した。今まで被告らには共済規約等請求をなしたが何れもない。

(四)  然し共済組合は原告らの集りであり仮りに災害時には半分近くは保償されるであろうことも又期待出来る。そこで農協が一千万円神奈川県火災共済が一千万円のときの共済掛金が一万六千円だと思われるのでここに応分の分担?を認識しこの金額の二ケ年分三万六千円を充当した結果ここに金二一万二千円が算出されたものである。

六、勧誘の際の作業標準・結果的にしろ原告に損害を掛けることを承知して(常に抱き合せて)したと思われること。

(一)  この新旧の契約の際はこの様にすることの他に増額の目的を果す方法はなかつたか、あるらしい。

(二)  解約させて新規契約をとつた方が、被告らの利益が優先したものと思われる。

(三)  契約上の事故について被告らは再々体験していると思われるのに完壁な勧誘時の作業標準を設定してないとのことで組合員の財産を預る機構に適しない。

(四)  三〇年の長期に亘る契約事業を被告らと共同して行うには全体的に見て被告らの事務作業は軽卒で、ある予見・予想を基に(中途解約等)時間を計算に入れて水掛け論にもつてゆくことを被告らは計算している。

(五)  昭和五三年二月一〇日受領文書以下文書と称す。文章No.8商法第十章第一節第二節の適用は共済だから受けない……とした公文書を受けた。この認識で運営されるのだから原告は被害者になるのである。改めて問う、間違い無いか。

(六)  文書中同ページ、イ、共済契約の締結を容易ならしむるために、直接に使用する文書又は図画には組合または連合会における割りもどし金の金額についてこれを約し又はこれの予想に関する事項を記載しないこと……以下略。この指導要綱が求めるものは何か、それは保険募集の取締に関する法律に根拠を置き利益誘導を排除したものである。見方を変えてこの共済の一部の金は積み立金ではないことになる。確か?

(七)  この指導要綱が組合に求めているのは予想配当金を直接組合員に募集時に利用させないことにあり積み立てるべく当てられた積立金(元金)にまで及ぶものではない。

(八)  むしろ年々積立金の預託を受けた被告らの責任でそれぞれ契約組合員に通知し残高の確認を求める義務があると思われる。

七、約款条文上の意識的戦略、言句、文体、単語。

(一)  この章では約款上より悪意があることを申し立てる。共済の目的の範囲を定めた(第二条、建物を共済の目的とする場合……略、2、建物を共済の目的とする場合……略)とあり以来被告らは原告に広告物を示して・ケガのとき・称して保償があつたと説明してきた。これらを確定したものである。そこで傷害がついているからそれに当てる費用が含まれていると、のべこれも確定している。

(二)  そこでこれらを結ぶと、この傷害について約款上目的の範囲に位置を持たず、被告らが何と言おうと保償の対象物又目的外である。立証の方法として、この約款書を持して、傷害にあつたので、広告物を示して、これを裁判に求めて即ざに認められるか、組合員のために共済があるのではなく、だれの為にあるのか。

(三)  同約款第二四条(共済契約が解除された場合の返れい金の返れい)前略……の規定により共済契約が解除された場合……略……組合は共済掛金積立金に相当する金額の、その解除が第二回共済掛金の払い込み前に行なわれた場合にあつては一〇〇分の六〇……略……に相当する金額を共済契約者に返れいします。

(四)  甲五号証~2は当該約款の運用上その数字(金額)を表にしたもので年払い・共済掛金積立金表と称し共済年度一年~三〇年、五年満期~三〇年満期の内原告の部分は、満期共済金額一万円につき第一年度はマイナス四三とある。これを原告の共済に引き直すとマイナス二一、五〇〇円となる。即ち共済掛金積立金の勘定は二一、五〇〇円の負債を契約の際承託を与えたことで原告は断じてその様な重大の内容を知らされておらずこの理論を知る限りにおいて理解したものはいない。解らないものを知らせることが出来ないと思う。その時そんなこと言つたら共済に入る人はいなくなつちやうと言つた支店長、共済部長の言が鮮烈な印象として残る。

(五)  この金員に一〇〇分の六〇を掛けたもの即ち一二、九〇〇円となり、解約するのに一二、九〇〇円支払わないと契約は完了しないことは明白である。これが理論的根拠に基づいてなされたものであるのでそれはどこの部分をとり出してもそれは作用していて二九年をへて消化される。

(六)  そこで甲第五号証~3によるときれいに精算され0ゼロとなりあたかも負債がないかのごとく装つている。これらが基になつて組み立てられたものは相手方の錯誤を計算に入れたものと指摘されて当然と思う。

(七)  大体共済が商人のこざかしさで被害者を生み残念である。昭和五三年二月一〇日の説明の際実際はもらつてないからいいでは無いかと被告神奈川共済農業協同組合連合会以下被告神協連と略す、の者は再々主張していたが、そのことは実体をかくす為の行為であり、その原因・理由が天からわいた訳ではない。原告はそこに作為を感じない訳にはいかないのである。

(八)  又良いことをしているから何をやつてもよい……ことに連なりそこには保償がない・保償のないことをのべることを通常空手形といい責任のある機関の発言とは信じがたい。又このことは私的に運営したことにならないか。ここでは共済の一番悪い状況を見る。

(九)  従来一般営利保険会社の遺失利益(得べかりし利益)は認められたものの共済はその性格上他の組合員の損害を与えない限度に限られるべきで処理されるのを相当と原告は考える。

(一〇)  単語用語に至つては日常それを業とするものですら解せない状況でその内容が組合員・原告の期待とはにてもにつかない共済が契約だけ双方が解らないのに現に成立する理由法的根拠は何か、断つておくが上の者は知つている、これを普通ペテンにかけると言う。違うというなら現に解約した人々の訟言をしてもらいたい。又通常過失の責任のとり方として相手に損をさせないことを最底限としている。これはモラルの問題だ。

(一一)  保険等に従来判例とされる不認は、前述の関係であり、共済には相互の関係も、利益の追求は断たれていることと、弱者の救済が保たれる等考慮する又組合の確実な運営と投下資本の高額化、被害を未然に防ぐ上からも原告の主張を採用すべきものと思う。他の事実関係は必要に応じて逐次提出する。

八、契約を結ぶ上での意と的な作業標準。

(一)  被告神共連の話しによれば県内だけで四〇万件の契約がある。これに月々の新規加入等で事務はもちろん直接のいわゆる現場の事務等はその件数から推して大へんと思われる。そこで大企業のそれと同じ規ぼであり組合員の財産を預るものの当然の義務として、それぞれの事務分担があり整然としたもののはずである原告より年一万何千円かの事務管理費を差引く割にその事務が劣悪であることをどう原告にわびるつもりか尋ねたい。

(二)  組合員の大切な財産を預るものとして、絶対犯ちがない対策はどんなものか、各自作業標準を確認させて頂きたい。

(三)  原告の未収金の原因を原告が探す。原告の受けた印象は原告より一万何千円もとつてした事務にしてはお粗末の限りだし、普通ヤラズブツタクリと言われて返すことばがあつたら聞く。

(四)  これらは他に理由があれば理解がゆく。約款五二年五三年と二度も改訂する割りに、すぐに出来る契約の際の内容の説明・言句の解説・注意事項等被告らには事故の分折は明らかでありその対策はあるはずである。それが出来ない理由は何か。その事故対策を約款に求め時間を嫁ぐ意とはありありしている。そこには道儀も無ければ組合員もなく共済の精神はないことは断言してはばからない。

(五)  言はないということはウソをつかないという事にはならないこれはこの事件を通して思い浮んだ言であります。

(六)  契約書を証言と一緒に十数日後に送るのは意と的な事務の代表である。

(七)  貯金みたいなものが再々出て来て原告に再々注意される。それは相手の錯覚を要依にする技術で私は十回払えば掛けただけ戻る貯金みたいなものと申しあげた……と胸を張つて言うのだから推して知るべし。

九、広告物の不作為の責任。

(一)  共済は利益追求の団体ではないと前置する。一般に広告の目的はそれを出す側の利益が目的であり、共済のそれは組合員の利益が目的と思われる。

(二)  又その広告物は一時に大量に知らしめることによつて効率よく目的を逐げることと、これの弊害も指摘出来る。同時に広告物に責任が課せられる。

(三)  従つてその広告物の裏にはその責任を罷れようとする内容がにじんで出てくるものと思われる。これが普通但し書となり被広告者にとつて重大な事実が明らかにされないとペテン広告?になると原告は素人ながら考える。

(四)  そこで結果的に被広告人の期待と違う時はだけが責任をとるのかはその内容にもよるが重大なものなら議論の余地は無い。そこで甲六号証~一の建更まもりに将来の新改築資金づくりにも最適な「備え」です・とある。資金づくりにも……とありこれは三〇年先のことを示すのか?そして満期になつたら年〇〇万円が〇〇万円になるとあればそのお金は理由はどうであれ〇万〇千円の負債を前提にしたものとは言いがたい。

(五)  この建更まもりは今と先だけ見せて中途で新改築の為の資金としての期待に最適な「備え」だろうか、否、ここには明らかに錯誤を期待している。

(六)  共済契約の結ぶ際の基本的注意事項、約款上の重要事項は、仲間意識の上から、事故防止に他の諸事実を考慮すると、そこに意と的な不作為を指摘する。

(七)  甲第六号証~一、原告は当時の建更まもりは受領していないし、知らない。又被告らの話では変つてないとのことである。

(八)  この甲六号証~一には原告は必用とする事故防止(契約内容の錯誤又は誤認)の為の注意事項・積立金の年度別の元金高・二重複契約等の事項は、この契約上、広告の性質上、重要と思われるのに、意と的に載せられてない、と思うし、載つてない。

一〇、事務が及ぼす修正・追認の経済的強要とそのものに損害の原因が求められること。

(一)  原告は甲二号証を昭和五三年一月一九日被告小田原市農業協同組合富水支店長より受けとりこれが当時の真正なものであることは確認済である。

(二)  昭和五三年二月七日被告小田原市農業協同組合本店に行つたとき見せられたものは確か昭和五二年二月と下の方に記しがあつたWハバの新約款があつた。

(三)  昭和五三年二月一〇日の説明の際手渡された公文書によれば新約款が又内容をさらに明らかに読み易くするべくするものを昭和五三年四月に出す予定とのことが明らかにされた。

(四)  そこでこの章で問題にしたいのは、同じ内容のものを…………理解したから契約するのと、理解したから契約しない……とに別れる。この後者の場合であるこんどの改改訂版の約款がどの様なものか知る由もないが原告の様に旧約款を基に締結したものが意味が解るにしたがつて化けものが出てきて認知してくれと言われてもそれは原告の責任ではない。

(五)  確かにこれからの人には良いだろう。然し今まで行われ習慣(これが又くせもので何かと相手をまるめ込む手段としあらかじめ利用するむきもある)づいていて契約時第一回メの掛金を受領した後約款を発送する。

(六)  普通契約を結ぼうとするとき約款は出さない。又別の観点から貴殿の契約はこの様に改められました……と新約款を契約人にとどいてその効力があるものと思われる。

(七)  その新しい約款が解りやすくなつたから誤つて無知で契約したものではないと旧約款者に強いることが共済の社会的期待から妥当とは思えない。

(八)  そこで生じた問題は原因者の責任で処理されるべきで被原因者に課せるべきでない。原告はこの他に意図的に精算書を原告に直接送らないのは約款を送ることが出来るのに集金費維持費等に一二〇、〇〇〇円もとつてした被告らの事務は原告の財産を託すにふさわしくない。

一一、共済としての実体は原告又は原告らに損があること。

(一)  この三〇年の契約の事業(原告は素人であるので常識のこの一言が中心と考えている)は振りかえつて年を見るのは自然である。

(二)  三〇年前の畳の値はいくらだつたか二五年前の雨戸の値段は?二〇年前の柱材は?一五年前の大工の人件費はいくらか、そして今は坪いくらで建て一五年先二〇年先三〇年先これをどう組合は組合員の利益を守るか?被告らはどうなのか?三〇年に亘る事業に、展望が、組合員の利益にそうものなのか。

(三)  原告は、この度の事件で、この建物更生約款の運営に限つて、その様な高い次元に立ち、指導力を具体的な形でなされたものでないこと。むしろそれに乗じて自からの運営に使つている。

(四)  被告らは原告の無知と、知らしめないことによる、原告らの過失を計算に組み込み、これをとり込み、既成事実を作りあげて・他の組合員の利益を損う・理由をたてに、この陰謀を正当化しようとしている。

(五)  三〇年そのまま掛金した実績を被告小田原市農業協同組合は原告に示してその確率がどの様なものか明らかにすべき義務がある(その際この被告らの言う建更は昭和四八年当時生れた(ここに巧みにすりかえた跡を見る)ものなのでそれで可であるので事実を提示し同時にこの具体的数字に限つて被告の小田原市内に求める何故なら原告も理論上の裏付は原告の能力(調査集収)のことで限界があるからで、このことは、県単位、全国の具体的統計とは別で、それはそれで求める。

(六)  契約年度の浅いものほど積立に移る金が少く、初年度は先食いする、したがつて運営費が契約年度の浅いものに課せられている。したがつてお金の価値がある内に有効に使うことが出来るのは被告らであつて原告らではない。原告は掛金全部を積立しろとは言わない。他の共済が同じ様な保償を行い営なまれているのだからそれに相当する金額を差し引いて積み立てるべきだと強く主張する。

一二、名称の責任、実体はとても共済とは言えないこと。

(一)  ここでは共済が本物であるのか、ないのかで争う。原告は昭和五〇年一二月ごろ被告らの事務の結果原告から見ると自動的になされたものである。その時三〇年(断つておくが原告から申し出たものではないがそのことを争うつもりは今のところない)

満期共済金額、五〇〇万円、

火災共済金額、一〇〇〇万円、

年払い、一二二、〇〇〇円、である。

説明によるとこの一二二、〇〇〇円は次の様に処分される。

組合に、新契約費、六〇、〇〇〇円、

維持費、一一、〇〇〇円、

県連え、新契約費、三九、〇〇〇円、

維持費、七、〇〇〇円

組合員の債務・借分、二二、五〇〇円…………確かでないが危険金これが保険に充当?

全協連が、新契約費、一、〇〇〇円、

維持費、二、〇〇〇円とのことで、

二回メ以降は時間がないとのことで中途で終つたので解らない。この配分にも共済上から原告は問題とする。

(二)  ほとんど同じ事務・保償を一六、〇〇〇円ですることが出来るのに、原告は裁判でここに最重点を置くので被告らに具体的な事実の統計等と数学的根拠・准用した公式と原告の現にある他の共済との比確に当市の状況を重ね合わせていい加減なものにしたくないので逐次資料を提出し争う。

(三)  以上のことを考慮に入れると原告はこの約款とこれを運営すべくある諸規定は農業協同組合法第八条・共済精神をいつ脱したものでその上になされたものは即ち共済の精神・期待等から外れたものだけを無効と主張する。

一三、共済組合の事業としてはその費用の食い方が共済らしくなくそこに損害の原因があること。

(一)  前章ではその根拠の解明を数的にとらえたがこの章では共済の年次的な指揮者としての役割りと組合の責任をのべる。

(二)  おこがましい限りだが共済とは何かを問う。広辞えんによれば―共同して助け合うこと―共済組合事業所の従業員などで組織し、組合員の福利増進を図るのを目的とし組合員の疾病・負傷・死亡・退職などに際して給付する相互扶助団体、を共済組合と言う。相互扶助とは互いに助け合うこと―とある。

(三)  大体に於て下部組織に対して上部より補助金がなされるか、施設・運営上の援助等なさたる様だが、農協は具体的にどうなのか、国としてはどうなのか。

(四)  広辞えんの解釈をそのまま援用すれば、建更共済は災害時の保償目的はなすが他の部分については後むきである共済団体?である。

(五)  農業協同組合法第八条(最大奉仕の原則)。組合は、その行う事業によつて組合員及び会員(以下この章に於て組合員と総称する)のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。

(六)  多分国としてはそれを課すので補助金がなされ組合はそれに応えていると推定する。

(七)  そして同法第十条に共済に関する規定があつて、共済は他に使つてはならないことが示されている。考えてみるに、大臣が認可したものは、何んでも正しい、と主張する被告らは独善であり、結果的に、弱い者いじめ(理由がある)になり、救済の便法をとらなく、もつぱら原告に求めることは、その掛金の配分をみれば、明白である。かかる規定こそ、本来の原則に反し三〇年の長きに亘る内容として持ちこたえられないものと原告は主張する。追つて逐次証拠を上げ主張する。

一四、共済約款上にないことをなしたことに損害の原因が求められること。

(一)  甲二号証自然災害担保付建物更生共済約款によれば、第二条(共済の目的の範囲)、建物を共済の目的とする場合にあつては、…………中略……に含まれていないものとします。2建物を共済の目的とする場合にあつては…………中略……に含まれていないものとします。と規定している。

(二)  約款上にないことを組合員は請求出来ない。約款上にないことを他の広告物で示すことは禁じられている。約款上にないことをするのは職務の乱用と職務規定に反しした職員は組合に返還の義務があると思われる。

(三)  又組合自体がしたときは、組合の責任で、本来の会計に戻さなければならない。

(四)  ここに甲六号証の一の建更まもりに・ケガのとき・と称して保償している。との被告らの証言がある。

(五)  原告が自動的に入つたものにもそれがある、と被告らは証言している。

(六)  しがたつてその保償料も当然含まれて高くなつている。と被告らは証言している。

(七)  原告は昭和五三年一月一〇日被告小田原市農業協同組合富水支店で面談した際広告物を見せられて初めて知つた。

(八)  これについてそのご再々あい再々原告が言つているのに反論がない。

(九)  原告はこの様ないいかげんなことだから今回の様な事件になるのは不思議はないと思う。

(一〇)  したがつて被告らは連帯してすでに支払つた総金員とそれに引きあてるべく積立つた金員を本来の会計に戻せ。

一五、以上のべてきた理由から原告は、被告尾崎吉雄と被告組合長尾崎正に対し請求一の金員一九万円を未だ受領していないのでこれを連帯して遅延損害金を含めて支払いを求める。

被告らは連帯して原告に金二一万二千円より被告らの言う解約返れい金を除いた金員即ち損害賠償金と遅延損害金を合せたものを原告に支払え。

以上を請求し訴訟費用は被告らの負担とする。

一六、被告らの主張を何れも否認する。

と陳述し、立証として、甲第一乃至第一二号証を提出し、乙第二号証、同第四号証、同第八号証の一、二の成立を認める、同第六、七号証、同第九号証、同第一一号証の成立を否認する、爾余の乙号証の成立は何れも不知、と述べた。

被告小田原市農業協同組合(以下、単に小田原市農協という。)、被告尾崎吉雄、被告神奈川県共済農業協同組合連合会(以下、単に県共済連という。)、被告全国共済農業協同組合連合会(以下、単に全国共済連という。)ら訴訟代理人は、本案前の答弁の趣旨として主文第一項と同旨の判決を、本案につき、原告の請求を何れも棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、本案前の抗弁及び本案に対する答弁として、

一  本案前の抗弁一

原告は、本訴に於て、原告と被告小田原市農協との間の建物更生共済契約に関する解約に関して損害賠償等の請求をしているが、右両者間の建物更生共済契約上の紛争の処理として、右建物更生共済契約款第四六条に「共済契約について組合と共済契約者または被共済者(共済金を受取るべき者を含みます。)との間に紛争を生じた場合に、当事者間の協議がとゝのわないときは、当事者双方が書面をもつて選定した各一名ずつの者の決定にまかせるものとします。この場合に、もしその者の間で意見が一致しないときは、神奈川県共済連が設置する裁定委員会の裁定にまかせるものとします。」と規定されており、この条項はいわゆる仲裁契約を定めたものであつて、共済契約の当事者はこの規定に拘束されるのである。従つて、共済契約者であり、被共済者である原告は、本件紛争につき、右約款に基き仲裁契約による手続をとるべきであるのに、これが手続をとらずして直接本訴請求をしたのは、仲裁契約を無視した違法な手続であるから、原告の本訴請求は、訴訟条件欠〓の不適法なものとして却下されるべきである。

二  本案前の抗弁二

原告は、被告小田原市農協との間に、本件建物更生共済契約を結んだものであつて、本件請求の趣旨第一、二項は、右契約の解約に伴つて被告小田原市農協の支払うべき解約返戻金の支払請求に関するものであるところ、被告尾崎、被告県共済連及び全国共済連は、何れも右契約の当事者ではなく、また、被告小田原市農協と連帯債務を生ずべき関係もないのであるから、被告適格を有しない者である。従つて、これら三被告に対する訴は、不適法として却下を免れないものである。

三  請求の原因に対する答弁

(一)  請求の原因第一項は、昭和四一年一一月頃、原告が被告小田原市農協との間に、共済金額金一五〇万円の建物更生共済契約を結んだ点、及び昭和五〇年一二月頃、損害時金一、〇〇〇万円の共済(この内容は、満期共済金五〇〇万円、火災共済金一、〇〇〇万円の建物更生共済であるとして。)の勧誘を、右被告小田原市農協の勧誘員から受け、原告が之に応じた点は認める。その余を争う。

(二)  同第二項は、(一)末尾の「増額に応じた」との点を認め、その余を争う。

(三)  同第五項は、(一)及び(二)(但し、金額は除く。)を認め、その余を争う。

(四)  その余の主張事実を何れも争う。

四  本案の抗弁一

原告は、請求の原因第一項に於て、請求の趣旨第一項に示す金一九万円につき、その算出の基礎として、昭和四一年一一月、被告小田原市農協との間に結んだ建物更生共済契約(以下、旧契約という。注、この契約内容は、共済金額金一五〇万円、共済期間三〇年、共済掛金年払金三万一、二〇〇円である。)の共済掛金額は一〇回分の累計額金三一万二、〇〇〇円であり、この額から昭和五〇年一二月、被告小田原市農協との間に結んだ建物更生共済契約(以下、新契約という。注、この契約内容は、満期共済金額金五〇〇万円、火災共済金額一、〇〇〇万円、共済期間三〇年、共済掛金年払金一二万二、〇〇〇円である。)の第一回の共済掛金額金一二万二、〇〇〇円を差し引いた金額である旨主張し、この額を請求の趣旨第一項に於て請求しているが、この主張及び請求は原告の誤認に基くものである。即ち、旧契約の当初の共済掛金額は一回分(年払一年分)金三万一、二〇〇円であつたが、第三年度以降は割戻金が差し引かれているのと、第七年度以降は危険率の見直し及び事業量の増大等による掛金額の引下げがあつたのとで、一〇回分(年払一〇年分)の実掛金額は金二七万五、〇四一円である。また、旧契約は、昭和五〇年一二月五日解約(新契約の締結に関連して解約)せられたが、この解約に伴う解約返戻金の額は、右の実掛金累計額と同額ではない。解約返戻金額は、約款規定により算定された金二五万六、九五〇円である。

ところで、このように算定された解約返戻金額は、そのうち金一二万二、〇〇〇円が、新契約の第一回の共済掛金の支払に充当されたので、この充当額を差し引いた残額金一三万四、九五〇円が実際に原告に払渡されるべき金額である。そして、この原告に払渡されるべき金額は、昭和五〇年一二月二〇日午前一一時頃、被告小田原市農協よりその担当職員が原告宅に現金で持参し、原告本人不在のため原告の妻に手渡して支払済みである。これによつて、原告に対する被告小田原市農協の旧契約の解約に伴う解約返戻金の支払債務は完済されたので、原告に何らの損害も与えていないから、これに関する原告の主張は理由がなく、その請求は失当である。

五  本案の抗弁二

原告は、請求の原因第二項に於て、請求の趣旨第二項に示す金二一万二、〇〇〇円につき、算出の基礎として、新契約の二回分の共済掛金額が合計二四万四、〇〇〇円であり、神奈川県火災共済・災害時一千万円のときの共済掛金が掛け捨てで、二回分合計金三万二、〇〇〇円と思われるので右金二四万四、〇〇〇円からこの金三万二、〇〇〇円を差し引いた残額である旨主張し、この額を請求の趣旨第二項に於て請求しているが、右の神奈川県火災共済という共済施設があるかどうかを被告小田原市農協は知らない。仮に、そのような共済施設があるとしても、それは原告と被告小田原市農協との間の本件建物更生共済とは別個のものであつて、全く無関係であるから、原告の主張は根本的に誤りであることが自明である。

本件新契約は、昭和五〇年一二月二〇日に締結され、昭和五二年一二月三〇日に原告の申入れにより解約せられたが、この間に、その共済掛金は二回分(年払二年分)合計金二四万四、〇〇〇円が支払われている。そして、解約に伴う解約返戻金は、当該共済約款の定めるところに基いて算定されるのであつて、その算定せられた本件新契約の解約に伴う解約返戻金の額は金四万八、五〇〇円である。尚、右算定が約款規定に基いてなされることについては、原告は、本件新契約の申込みに当り、「貴組合の建物更生共済約款を承知のうえ共済契約を申し込みます。」との記載ある申込み書面に所定の事項、氏名、住所を記載したものに押印して申込みをしているのであるから、これに対する異議の余地はないものである。

そして、右返戻金額は、それに割戻金一万六、四七五円を加えた金六万四、九七五円として、昭和五三年三月三一日現金書留郵便によつて被告小田原農協から原告に送金されたが、原告不在のため返還され、後に昭和五三年六月二七日原告は右金額を受領している。従つて、原告に対する被告小田原農協の新契約の解約に伴う解約返戻金の支払債務はこれによつて完済されたので、原告に何らの損害も与えていないから、これに関する原告の主張は理由がなく、その請求は失当である。

と陳述し、立証として、乙第一乃至第七号証、同第八号証の一、二、同第九号証、同第一〇号証の一、二、同第一一号証、同第一二号証の一乃至四、同第一三号証の一乃至一一を提出し、被告本人尾崎吉雄の尋問の結果を援用し、甲第七号証、同第九号証の成立は不知、同第一〇号証は官署作成部分の成立を認めてその余の成立は不知、同第一一号証は小田原市農協の作成部分の成立を認めてその余の成立は不知、爾余の甲号証は何れも成立を認める、同第一号証は原本の存在も認める、と述べた。

被告農林水産大臣代理人は、原告の被告農林水産大臣に対する訴を却下する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、本案前の抗弁として、

原告の被告農林水産大臣に対する訴は不適法である。即ち、原告は、請求の趣旨第二項に於て被告農林水産大臣に対し損害賠償金の支払を求めているが、このような民事上の請求については行政機関である被告農林水産大臣は被告適格を有しない。よつて、本件訴は速やかに却下されるべきである。と陳述し、甲第七乃至第九号証、同第一一号証の成立は何れも不知、同第一号証及び同第五号証は、原本の存在を認めるが成立は不知、同第一〇号証は官署作成部分の成立を認め、その余の部分の成立は不知、爾余の甲号証の成立を認める、と述べた。

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